学校賞受賞校の先生から

第20回を記念し、学校賞が新設されました。
「環境大臣賞」は学校をあげて積極的にお取り組みいただいている学校に対して、「朝日新聞社賞・朝日学生新聞社賞」は、入賞者の多い学校に対して授与されます。


佐藤 美江子

ビオトープに遊びに来るトンボが大好き!見て、ふれていっしょに遊んで描きます

会津若松市立 城北小学校 教諭 佐藤 美江子
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私たちの学校にはビオトープがあります。城北山とその南側には、クヌギやホウノキ、山桜などの樹木とみんなで作った池があります。今までの卒業生が木を植えたり、池を作ったりしたものです。子ども達は、そこで遊ぶのが大好きです。春夏秋冬、いろいろな遊びを考え出し楽しんでいます。ゴロゴロ転がったり、花つみをしたり、冬には尻すべりを楽しみます。秋には、赤トンボの大群とたわむれます。

夏の終わり頃から、教室にも毎日のように空飛ぶお客様が訪れます。1年生の子ども達は大喜び。ほとんどはアキアカネですが、たまに大きなオニヤンマが入ってきて、悠然と天井のあたりを旋回して出ていきます。まるで教室は、自然の中の一部であるとでもいうかのように。子ども達は大喜び、しばしこのトンボの王様を眺めます。「みんな、ちゃんと勉強してるか、見に来たんだね」と言うと、すかさず「遊びに来たんだよね」、「トンボも勉強したいのかな」の声があがります。みんな、トンボが大好きなのです。
「トンボの絵を描いてみたい人いるかな」、で今回の図画も仕上がりました。大好きなトンボを見て、いっしょに遊んで一生懸命に描きました。


武子 みち子

子ども達の友達になったトンボ トンボとにらめっこをしながら描いた絵

ひたちなか市立 佐野小学校 教諭 武子 みち子
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1・2年生は、生活科の学習で自然と触れ合う機会がとても多くあります。学校の近くにある“上高場公園”にもよく探検にでかけます。トンボと遊びながら学習できます。トンボに挨拶する子どもの明るい顔。その心には、絵が半分以上できあがっています。“帽子”の上に少しすましてとまっているトンボ。“花びら”にちょこんとおすわりしているトンボ。そのトンボに語りかける子どもの優しい笑顔。たくさんの友達ができたような笑顔。トンボの絵は、子どものありのままの心を描き出します。

子ども達は、トンボに顔を近づけ、羽の模様や色や体の形をしっかりと見てスケッチをします。自分とは違う目玉のおもしろさ、不思議さにひかれ、にらめっこをしながら描いています。子ども達に、「描く喜びを味わわせたい」。このチャンスをくれたのが、「WE LOVE トンボ」絵画コンクールです。


新井 文夫

美術の授業は“1枚のティッシュペーパー”の話から・・・ 作品作りを通して、何が大切かを考えていく指導を

前橋市立 第五中学校 美術担当教諭 新井 文夫
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生徒たちは何かというとすぐにティッシュペーパーを使いたがりますが、本校の美術の授業では筆の水の調整や汚れ取りにティッシュペーパーの使用はさせていません。いらなくなったタオルやTシャツ、下着の切れ端などのボロ布を3年間使います。授業ではこんな話をしています。「美術の時間に一人がたった1枚のティッシュペーパーを使うとすると、クラスで40枚、学年で200枚、全校で600枚、市内の小中学校全体で約26,000枚(130箱)が1週間でなくなります。全県、全国となったらどうでしょう。大変なことになってしまいます。1週間に一人がたった1枚でもです」

美術は“価値が高いとは何か”を考えていく教科です。価値の高さを求めていく教科です。作品をつくることが目的ではなく、作品をつくることを通して、何が大切なのか、を考えていく教科です。美術を学習することを通して、自分の良さや、友達の大切さ、がんばることのすばらしさ、達成の喜び、自然を含む身の回りの環境や社会への感謝などを学んでいってくれたらと思い、日々指導させていただいています。
第20回には栄誉ある賞をいただきました。これを契機にさらに誇り高く自信を持って制作ができる生徒になれるよう、喜びをもってがんばってくれるものと信じています。


濱野 卓也

“トンボの絵”は夏休みの課題に 各自で画材を工夫し、自由でのびのび作品づくり

香川県立  高松工芸高等学校デザイン科教諭 濱野 卓也
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本校デザイン科では、環境教育の一環として数年前より「WE LOVE トンボ」絵画コンクールに取り組んでいます。

最初は、“トンボの絵のコンクール”にどのように取り組ませれば良いかと難しく考えてしまいましたが、とりあえず夏期休業中の課題の一つとして出すことにしました。普段はポスターカラー等を使ったデザイン作品を作っていることが多い生徒たちには、絵画風の作品制作はかえって新鮮だったようで、夏休み明けには出来上がったお互いの作品を見せ合いながら大いに盛り上がっていました。

そのような様子から、通常であれば作品制作は生徒と一緒にアイデアスケッチなどを検討しながら進めていきますが、「トンボ」に関してはすべて生徒たちに任せて制作してもらうことにしました。生徒も水彩絵の具、ペン、パステルなど普段は使わないような画材を各自が工夫して、自由にのびのびと作品に取り組んでいるように思います。
今後ともこの「WE LOVE トンボ」絵画コンクールに参加することで、トンボとその周辺の自然を観察しつつ、環境保護の精神や自然に親しむ心を育み、楽しく絵画作品の制作に取り組んでいけたらと考えています。